子育て・保育のお悩み解決日記

15年以上の保育経験と園長経験で、あなたの子育ての悩みを親身にサポート!

第2章 第13話:自発的な遊びを尊重する「自由保育」。自分の「やりたい」が「学び」に変わる瞬間 - 園選びは子どものことを考えるきっかけになる

園庭に出ると、そこには一見「カオス」な光景が広がっていた。

泥だらけになって穴を掘り続ける子、ダンボールを組み合わせて何やら巨大な基地を作っている子。先生たちはそれを遮ることなく、一歩引いたところで見守っている。

「楽しそうだけど、これって教育なの……?」

恵は思わず隣にいた先生に尋ねた。
先生は穏やかに、しかし熱を込めて語り始めた。

「私たちは、この時間を【主体性】と【探究心】を育む最高の学び場だと考えています。
例えばあの子、樋(とい)を繋げて水を流そうとしていますが、なかなかうまくいきません。そこで『なぜ流れないのか?』と試行錯誤していますよね。
大人が正解を教えるのは簡単ですが、自分で仮説を立て、失敗し、工夫するプロセスこそが、将来どんな課題にも立ち向かえる【問題解決能力】の種になるんです。
『やらされる100分』より『夢中になる10分』。この自発的なエネルギーこそが、知的好奇心のエンジンを育てるんですよ」

 

誠は、子供たちの真剣な眼差しを見て、納得したように分析した。

「なるほど。先生は『教え手』ではなく、子供の興味を広げる『環境のデザイナー』なんですね。
自分で選んだ遊びだからこそ、壁にぶつかっても投げ出さない。この【やり抜く力(非認知能力)】は、これからの時代、知識以上に重要になるスキルだ」

帰り道、誠は恵にこう伝えた。

 

「【例え話】をしよう。
自由保育は、いわば『未知の島をゆく冒険家』だね。
一斉保育が地図に従う『観光ツアー』なら、こちらは自分で道を選び、時には迷いながらゴールを探す。

葵にとって、自分で『これだ!』と決めたことを最後までやり抜く経験は、自分を信じる力(自己肯定感)という一生の宝物になるはずだよ」

恵は、泥だらけの顔で笑う葵の姿を想像し、一見バラバラに見える遊びの中に、緻密に積み上げられている「考える力」の正体を見た気がした。