子育て・保育のお悩み解決日記

15年以上の保育経験と園長経験で、あなたの子育ての悩みを親身にサポート!

第2章 第17話:五感を揺さぶる「非日常の体験」。驚きと感動が育む「感性の土台」 - 園選びは子どものことを考えるきっかけになる

園の掲示板に、泥だらけになって稲を掲げる子供たちの写真や、大きなホールで劇を観ている真剣な表情の写真が並んでいた。

「稲刈りに、本格的な観劇まで……。行事がかなり多い園ね。誠さん、こういう体験ってやっぱり大事なのかな?」

恵が写真を見つめながら呟くと、園長先生がその教育的意図を語ってくれた。

「私たちは、こうした『非日常』を【感性のスイッチ】だと考えています。
例えば稲刈りなら、土の匂い、稲のチクチクした感触、そして収穫の喜び。デジタルでは絶対に味わえない『本物の重み』を五感で知る。
また、プロの演劇を観ることは、豊かな表現力や想像力を刺激し、他者の感情に共感する【情操】を育みます。
毎日のルーチンも大切ですが、時折訪れる強烈な『驚き』や『感動』が、子供の好奇心を爆発させ、学ぶことの楽しさを心の奥底に刻み込むんですよ」

 

誠は、写真の中の葵と同年代の子が、重い稲束を一生懸命運んでいる姿を見て、論理的に分析した。

「なるほど。毎日の保育が『主食』なら、こうした体験は『ビタミンやミネラル』のようなものですね。
非日常の体験が刺激となり、日常の学びをより豊かに吸収するための【感性の土台】を作っている。
先生、ただ楽しい思い出作りではなく、その後の子供たちの発言や遊びに変化はありますか?」

「ええ、驚くほど変わります。稲刈りの後はご飯を一粒も残さなくなったり、劇の後は自分たちでお面を作って演じ始めたり。体験が『自分の言葉』を生み出すきっかけになるんです」

帰り道、誠は恵にこう整理して伝えた。

 

「【例え話】をしよう。
非日常の体験は、子供の心に『新しい窓』を開ける作業だ。
窓が多ければ多いほど、そこから見える世界(興味)は広がり、光(知識)もたくさん差し込む。

ただ、窓を増やすには準備や移動といった『体力』も必要になる。
葵にとって、どのくらいの頻度で新しい窓を開けてあげるのが一番心地よいのか。園の行事の数と、葵の気質を照らし合わせて考えてみよう」

恵は、稲を握る子供たちのたくましい手つきを思い出し、「本物に触れる」という体験が、葵の未来をどれほど鮮やかに彩るかを想像して胸を熱くした。