「ねぇ誠さん、見て! この園は毎日プロのコーチが来て体操するんですって。こっちはネイティブの先生が常駐して、生活の半分が英語。……今はこんなに『特化型』の園があるのね」
恵が机に広げた色とりどりのパンフレットを見て、驚きの声を上げた。
誠はそれらを手に取り、各園が掲げる「特化」の裏にある教育的な狙いを分析し始めた。
「なるほど。単にスキルを身につけるだけが目的じゃないみたいだ。
例えば【運動特化】の園。跳び箱やマット運動を通じて、彼らが本当に育てたいのは『身体能力』だけじゃない。昨日までできなかったことが、練習してできるようになる。その時の【自己肯定感】と、困難に立ち向かう【挑戦心】を育もうとしているんだ。
そして【英語特化】。これも単なる語学学習じゃなく、違う言葉、違う文化を持つ人と『伝え合えた!』という【成功体験】を重視している。言葉の壁を越えて世界を肯定的に捉える『心の柔軟性』を養おうとしているんだね」
恵は少し不安そうに尋ねた。
「でも、小さいうちから一つに絞っちゃって大丈夫かしら? もっと幅広く経験させたほうがいいような気もするけど……」
誠はホワイトボードに、新しい例え話を書き込んだ。
「【例え話】をしよう。
特化型の園は、いわば『専門の道場』や『留学』のようなものだ。
幅広い経験ができる園が『バランスの良い定食屋』だとしたら、特化型は『最高の一皿を出す専門店』。
もし葵が、体を動かすことに格別の喜びを感じていたり、新しい言葉の響きに強く興味を示していたりするなら、その『一点突破』の経験が、彼女の自信の【核】になる可能性がある」
誠は恵の目を見つめて続けた。
「親の『やらせたい』ではなく、子供の『これが好き!』がそこにあるかどうか。
もし葵の目がその活動でキラキラと輝くなら、その『特化』は彼女にとって最高の栄養になるはずだよ」
恵は、公園のジャングルジムで一番高いところまで登り、誇らしげに手を振る葵の姿を思い出した。
「葵の『やりたい!』がどこに向いているのか、もっと注意深く観察してみるわ。園の特色に合わせるんじゃなくて、葵の個性を加速させてくれる場所を選びたいものね」
