子育て・保育のお悩み解決日記

15年以上の保育経験と園長経験で、あなたの子育ての悩みを親身にサポート!

第2章 第20話:答えは一つじゃなくていい。葵を想い、向き合った「この時間」が最高のギフト - 園選びは子どものことを考えるきっかけになる

夜、葵がすやすやと寝息を立てる横で、誠と恵はこれまでの膨大なメモとパンフレットを眺めていた。
一斉保育、自由保育、知識、思考、体験、特化型……。

「ねぇ誠さん。正直に言っていい? ……調べれば調べるほど、どれも良くて、どれが正解なのか分からなくなっちゃった」

恵が少し力なく笑いながら呟く。

誠は、びっしりと書き込まれたノートをゆっくりと閉じ、葵の寝顔を見つめた。

「……そうだね。僕も分析すればするほど、『完璧な園』なんて存在しないんだと痛感したよ。
でもね、恵。今日までの時間を振り返ってみて、一つだけ確信したことがあるんだ」

誠は穏やかな声で続けた。

 

「【例え話】をしよう。
僕たちはこの数週間、葵の将来という『まだ見ぬ海』の海図を、一生懸命に描いてきた。
それは、葵の個性をどう伸ばすか、どんな風に笑ってほしいか、彼女を一人の人間として尊重し、全力で向き合う時間だった。
これほどまでに真剣に、葵のことだけを考え続けた時間は、僕たちにとっても初めてだったんじゃないかな

恵はハッとして、自分の手元にある「葵のいいところリスト」を見つめた。

「……確かにそうね。園を探していたはずなのに、いつの間にか、葵がどんなことに心を動かして、どんな時に一番輝くのか、そんな『葵という存在そのもの』をずっと探していた気がするわ」

 

「そう。どの園を選ぶかという『答え』よりも、こうして悩み、考え、葵を慈しんできた『このプロセス』こそが、親としての僕たちの成長だったんだ。
葵を本当に大事に想っている。その揺るぎない事実に立ち返れただけで、このリサーチには大きな価値があったよ」

恵の目から、じんわりと温かいものが溢れた。

「そうね。私たちがこんなに葵を想って選んだ場所なら、きっとどこであっても、そこが葵にとっての正解になる。そう信じられるようになったわ」

二人はパンフレットをそっと片付け、小さな寝顔に「大好きだよ」と心の中で語りかけた。
教育のメソッドを超えたところにある、親の深い愛。それが、葵の未来を照らす一番の光であることを、二人は静かに噛み締めていた。