子育て・保育のお悩み解決日記

15年以上の保育経験と園長経験で、あなたの子育ての悩みを親身にサポート!

第3章 第22話:親の「現実」か、子の「理想」か(前編)。わが家だけの「判断指標」を可視化する - 園選びは子どものことを考えるきっかけになる

「教育方針も最高、設備もピカピカ。でも、家から片道30分で親の出番も多い園。
一方で、教育は標準的だけど、駅近で延長保育も充実、親の負担がほぼゼロの園……。
誠さん、これってどうやって比べればいいの?」

恵の切実な問いに対し、誠はパソコンで一つのシートを作成した。

「恵、感情だけで選ぼうとすると迷路にはまる。まずは僕たちの【判断基準】をグループ分けして、それぞれに『重み(比重)』をつけてみよう」

誠は画面を指差しながら説明を始めた。

「大きく分けて、2つのカテゴリーがある。
【グループA:親の現実】(通勤時間、延長保育、費用、行事の頻度)
【グループB:子の教育】(理念、遊びの質、運動・英語などの特化内容)」

 

「【例え話】をしよう。
これは『登山ルート選び』に似ている。
山頂の景色(教育の理想)がどんなに素晴らしくても、登山口(日々の送迎)までが遠すぎて、装備(親の体力・時間)が足りなければ、途中で遭難(生活の破綻)してしまう。
逆に、登りやすい道(利便性)ばかり選んで、山頂で何も得られないのも寂しいよね

恵は、自分の平日のスケジュールを思い浮かべながら数字を打ち込んでみた。

「私たちが葵に一番させてあげたいのは『自由な遊び』だけど、仕事でクタクタになって葵との笑顔が消えちゃうのは本末転倒よね……。
誠さん、うちは【親の現実】を6割、【子の教育】を4割くらいの比重で考えてみるのはどう?」

 

誠は頷いた。

「いいバランスだ。そうやって『自分たちの生活の器(うつわ)』の大きさを決めることで、初めて候補の園を公平にスコア化できるんだ」

二人は、キラキラした理想の裏にある「毎朝・毎夕のリアリティ」を数字に置き換え始めた。
それは、葵の成長を支えるための「持続可能な幸せ」を探す作業でもあった。