B園での生活が落ち着いたある休日。
公園で楽しそうに遊ぶ葵を眺めながら、誠と恵はこれまでの道のりを振り返っていた。
「本当にいい園に出会えてよかった。でもね、誠さん。もし今後、葵がもっと別のことに興味を持ったり、どうしても今の環境が合わなくなったりしたら、どうすればいいんだろうって、ふと考えちゃうの」
誠は葵の成長した姿を見つめ、確信に満ちた声で答えた。
「恵、その時はまた、今日までやってきたみたいに、3人で話し合って『新しい道』を探せばいいんだよ。
【例え話】をしよう。
子育てという旅において、園は『今、この瞬間に最適な乗り物』だ。
今はB園という、山道に強い四輪駆動車が必要かもしれない。でも葵が成長して、もっと広い海へ出たいと言い出したら、僕たちは『船』に乗り換える必要があるだろう?
乗り換える(転園する)ことは、前の乗り物が悪かったわけでも、運転が下手だったわけでもない。ただ、目的地と葵の成長に合わせて『最適化』しただけなんだ」
恵は、誠の言葉に心がすっと軽くなるのを感じた。
「そうね……。あんなに必死に選んだから『ここじゃなきゃダメ』って思い込んでいたけど、大切なのは園を守ることじゃなくて、葵の笑顔を守ることだものね。
もし『転園』が必要になったとしても、それは失敗なんかじゃない。葵の成長に合わせて、私たちがアップデートしたってことだわ」
誠は頷き、恵の手を握った。
「僕たちが今回学んだ『リサーチの仕方』や『夫婦での話し合い』。これは、葵が小学校、中学校、そして大人になっていく過程で、何度も使う一生モノのスキルだ。
どんな変化が起きても、僕たちはその都度、葵にとってのベストを更新し続けていける。その自信こそが、今回の『園選び』で得た一番の収穫かもしれないね」
「パパ、ママ、見てー!」
葵が呼ぶ声に応えて、二人は笑顔で駆け出した。
正解を出すことよりも、変わりゆく日々の中で「納得」を積み重ねていくこと。
二人の「わが家らしい教育」は、これからも形を変えながら、葵の未来を明るく照らし続けていく。
