子育て・保育のお悩み解決日記

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あとがき —— わが子と歩む、正解のない旅路 - 園選びは子どものことを考えるきっかけになる

この物語の幕が下りる瞬間まで、誠と恵、そして葵の歩みに寄り添ってくださった皆さま、心より感謝申し上げます。

読み進めるなかで、皆さまはどのような感情を抱かれたでしょうか。

物語のなかで、誠と恵は幾度となく高い壁にぶつかりました。
恵が「本当にこの道で合っているの?」と、理想の教育と目の前の現実の間で人知れず涙を流したとき。
あるいは、冷徹なまでに完璧な分析データを揃えたはずの誠が、最後の一押しを前に「これは本当に娘のためなのか」と立ち止まり、深く迷ったとき。

彼らの姿に、日々の生活のなかで葛藤するご自身の姿を、鏡のように重ね合わせた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

お気づきの方も多いかもしれませんが、本書は「どの教育法が最も優れているか」という単一の正解を提示するためのマニュアルではありません。

私たちが本当に伝えたかったのは、効率的に最短距離で答えを導き出すテクニックではなく、「わが子のことを、とことん考える時間」そのものの尊さです。

親が子の小さな変化に気づき、その気質を深く見つめ、唯一無二の個性を愛おしむ。
そして、その子の幸福を願って未来を想像する。
その濃密で、時には苦しいほど真剣な時間の積み重ねこそが、親子の絆を何よりも強くし、どんな高名な教育メソッドよりも、子供の成長を支える揺るぎない糧になるからです。

皆さんは、ふとした瞬間に、わが子の「20年後の姿」を想像したことはありますか?

「どんな街で、どんな仲間と、どんな顔をして笑っているだろうか」
「困難に出会ったとき、どんな風に自分の足で立ち上がるだろうか」

そんな風に少し先の未来を描く時間は、たとえ今が夜泣きや進路の悩みで大変な時期であっても、親である私たちに勇気と、ワクワクするような希望を与えてくれるはずです。

 

もちろん、人生は計算通り、想像通りに進まないことの方が多いものです。
この物語の中で誠が語ったように、状況が変われば、まるで古くなった自転車を乗り換えるように、その場に合わせた手段を軽やかに選び直す習慣を持ってください。

「一度決めたことだから、最後までやり遂げさせなければならない」
「この教育でなければ、この子の将来は失敗してしまう」

といった、自分や子供を縛り付ける「見えない鎖」を、どうか自らの手で断ち切る勇気を持ってほしいのです。

誠のロジカルで客観的な視点も、恵の繊細で温かな直感も、その根源にあったのは、葵という一人の人間を心から愛しているという純粋な想いでした。
これから皆さまが、大切なお子さまと共に歩む道も、きっと世界に一つとして同じものはないはずです。

もし、進むべき方向に迷い、暗闇の中にいるように感じたときは、いつでも本書を読み返してみてください。

そこで探すべきは「世間一般の正解」ではありません。
あなたと、あなたのお子さまにとっての、たった一つの「納得」です。

皆さまがこれからも、その「納得」を一つずつ丁寧に積み重ね、笑顔あふれる日々を過ごしていけることを、心より願っています。